ピアニスト 宮本聖子さんに迫る

メイシアター大ホールが2020年9月にリニューアルして以来、初めての登場となる大阪交響楽団!
そしてソリストには吹田のピアニスト宮本聖子さんをお迎えします。

宮本さんは1999年のデビュー以来、大阪を拠点にリサイタルを中心に演奏活動を重ね、室内楽でも大阪クラシックに例年出演されるなどして着実にファンを増やして来られました。
メイシアターでは2013年・2015年に小ホールでの名曲コンサートにご出演いただきました。

今回は、宮本さんが大好きな曲だとおっしゃるリスト作曲ピアノ協奏曲第2番を演奏くださります。
この曲の魅力などお話を伺いました。

宮本さんは長年吹田市に在住ですが、吹田市の魅力は何でしょうか。
また、メイシアターでの思い出を教えてください。

吹田市の魅力:
吹田市は生まれ育った故郷です。とにかく住みやすい街だと思います。どこに行くにも便利で、でも緑も多く住環境がいい。東京の大学に進学し、留学もして吹田を長く離れた時期もありましたが、結局住み心地のよい吹田に戻ってきてしまいました。

メイシアターの思い出:
吹田市内の高校に通っていたので高校の式典や音楽発表会などがメイシアターで開催されました。高校の創立周年記念の式典で狂言を見た事がとても印象に残っています。
留学を終えて吹田に再び帰ってきてからは名曲コンサートを始めメイシアターで何度か演奏させていただいています。生徒の発表会をしたこともありますし、ティーンズフェスティバルで生徒が賞をいただいたこともあります。地元の大切なホールですので思い出は尽きません。

現在、YouTubeにて動画を配信され、発表会におすすめの曲と演奏のポイントが大変分かりやすい動画を沢山公開されています。配信のきっかけや、目標、気を付けていることはありますか。

きっかけ: 
昨年ゴールデンウィークに予定していた生徒の発表会をコロナ禍のため半年延期せざるをえなくなりました。同じ曲のままではなく新しい曲に生徒たちにチャレンジしてほしい、でも対面ではなかなかレッスンできない状況でしたので、選曲の助けにしてもらおうと、ステイホーム中に動画を撮影し始めました。
最初は演奏にタイトルをつける程度しか出来ませんでしたが、動画編集のスキルも少しづつアップし撮影機材などもより充実してきたので、最近は演奏のポイントの解説も付けてみたりしてます。

目標:
元々は自分の生徒に向けての動画でしたが、より多くのピアノの上達を目指す子供達や、その成長を支えている保護者の方々、指導者の方々にも見ていただけたらと思っています。
演奏や指導のための何らかのヒントを得ていただけるような動画を、アイディアはいろいろあるのでこれからも作っていきたいと思っています。

気をつけていること:
動画を見てくださる方にとってお手本となるべき演奏にしようと思うと、子ども向けの曲でもなかなか大変です。ノーミスというだけでなく指使いや手の形などにも気をつけて弾いています。いつも自分が生徒に注意していることを私ができていないと生徒たちに示しがつかないので神経使います(笑)。

過去のソロリサイタルの演奏動画も公開しておりますので、それらもご覧いただけましたら嬉しいです!
Seiko Miyamoto YouTubeチャンネル
https://youtube.com/channel/UCdmz8C3hhKZo7vokzL6TXxg

今回、リスト「ピアノ協奏曲第2番」を選ばれた経緯を教えてください。
選曲の際にどんなことを考えられましたか。

私の方で自由に選曲していいと言っていただいたので、死ぬまでに弾きたいピアノ協奏曲リストの上位3曲の中から選びました(笑)
リストの2番のピアノ協奏曲は演奏される機会はあまり多くないのですが、オーケストラパートが充実していてピアノとオーケストラが対等に会話をする曲なので、大阪交響楽団さん、今注目されている指揮者の横山奏さんと共演するにあたって良い曲だと思いました。

リスト「ピアノ協奏曲第2番」はどのような曲でしょうか。
宮本さんが持たれているイメージや曲の魅力、「ここ聴いてほしい!」注目ポイントを教えてください。

大学生の時に大阪交響楽団の前身である大阪シンフォニカーとリストの第1番の協奏曲を共演させていただきました。それが私のコンチェルトデビューでした。華やで輝かしいエネルギーに溢れた若者という感じの第1番に対し、第 2番の協奏曲は凛とした強さと清らかさを持った淑女という感じがします。若い時には第1番を、そしてうん10年という時を経て、淑女とは言い難いですが多少は大人になって、デビュー時と同じオーケストラと今回は第 2番を共演できることに不思議なご縁を感じています。
第1番と同様に楽章の切れ目がなく一気に演奏されますが、夢のように美しく清らかなパッセージと力強く華麗で煌びやかな部分が目白押しで20分ほどがあっという間だと思います。ピアノの見せ場もたくさんありますがオーケストラもとてもかっこいいです。聴きどころ満載で選べません!

宮本さんはリストが大好きだと伺いました。
リストの好きな所はどのようなところでしょうか。

圧倒的な超絶技巧と甘く夢見るような旋律で聴く人全てを熱狂させ魅了した、19世紀最大のスーパースターピアニストだったリスト。肖像画で見るととってもイケメンでもあり、女性関係もなかなか華やかだったようです。コンサートでは失神してしまう女性もたくさんいたとか。
そのイメージが先行して、華やかで派手でかっこいい、でもテクニックをひけらかすような軽薄さもあるというのが多くの人が持つ彼の音楽のイメージではないかと思います。
でもそれはリストの一面でしかなく、彼は教養豊かな人格者で多くの慈善事業も行い、ワーグナーなど同時代の若い音楽家たちを支援し、たくさんの弟子を育て(レッスンを望む人たちに無償でレッスンしたそうです)、また聖職者への憧れを終生持ち、僧籍に入ってしまったこともあるほど宗教的で、聖と俗を合わせ持つ多面的で深遠で愛に溢れるとてつもなく大きな人間性の人でした。
私はリストの煌びやかなかっこよさも好きですが、どちらかというと彼の内省的で精神的な音楽の方に惹かれます。ソロの演奏会でもそういう曲を取り上げてご紹介していきたいなと思っています。

リサイタルや室内楽のコンサートと今回のようなコンチェルトではどのような違いがありますか。
オケ合わせの際、どのような事を意識して調整されていますか。

ソロの時は作曲者、楽譜に対して真摯に忠実に向き合いながら自分の世界を作っていきます。
室内楽では共演者の意図を尊重し、相手に合わせながら自分の主張を織り交ぜていき、調和させていくことを目指しています。
コンチェルトはオーケストラ、指揮者とのアンサンブルではありますが、自分がリーダーシップを取って引っ張っていかなくてはならないので、普段室内楽で相手に合わせることが多い私にはシフトチェンジが必要です。いつもとは違うエネルギーを引き出さなくては、と思ってます。

宮本さんの素敵な演奏を沢山のお客様に聴いて頂きたいです。
お客様に向けてメッセージや意気込みをお願いします。

今回地元のメイシアターでの演奏会でソリストとして演奏できることをとても嬉しく誇らしく思っています。コロナ禍が未だ収束せず、予想以上に長く不自由な生活を強いられることになり、なかなか気分も晴れませんが、ホールで生のオーケストラとピアノの響きの迫力と、素晴らしい音楽を体感していただき、癒しと元気と希望をお届けしたいと思っております。
幸せと感動とコロナに負けずに前を向いて進んで行く力を感じられる、時間と空間を皆様と共有できれば幸いです。
会場でお目にかかれますことを楽しみにしております。